アミロイドーシス
体の中にアミロイドとよばれるナイロンのような繊維状の物質(異常タンパク質)が発生し、さまざまな臓器に沈着(組織の中にたまってしまう)することにより心臓や腎臓、肝臓、神経、胃や腸などさまざまな臓器が障害される病気です。複数の臓器に沈着するタイプ(全身性アミロイドーシス)と特定の臓器に沈着するタイプ(限局性アミロイドーシス)に分けられます。
このアミロイドと呼ばれる異常なタンパク質は体外から入ってくる物ではなく体内で勝手に作られてしまうことにより生じます。
作られるタンパク質の種類や発生の仕方、遺伝性や沈着する組織により様々な病型がある非常にややこしい病気です、全身性アミロイドーシスは以下の4つのタイプに分類されます。
AF(家族性)アミロイドーシス トランスサイレチン(TTR)など特定の血清タンパク質をコードする遺伝子の変異によってアミロイドが異常に産生されます。これらの変異したタンパク質によってアミロイド線維が形成され、典型的には腎臓、神経、心臓に沈着します。AFアミロイドーシスのうち最も頻度の高い病型は,TTRアミロイドーシス(amyloidosis caused by TTR:ATTR)です。ATTRは心筋症や末梢の感覚神経障害, 自律神経性ニューロパチー, 腎臓障害の原因となります。
AL(原発性)アミロイドーシス 形質細胞(白血球の一種であるリンパ球から文化した抗体を産生する細胞)やリンパ球B細胞の異常により軽鎖と呼ばれる異常なタンパク質が産生されることによって発生します。ALアミロイドーシスでは、皮膚、心臓、腎臓、神経、舌、腸、肝臓、脾臓、血管などにアミロイドが蓄積するのが特徴です。
AA(続発性)アミロイドーシス 結核、 関節リウマチ、 家族性地中海熱などの持続的な感染または炎症を起こす病気や、特定の種類のがんにより発生します。AAアミロイドーシスでは腎疾患をきたす頻度が最も多くなりますが、他の臓器も影響を受ける可能性があります。
ATTRwt(野生型トランスサイレチンアミロイドーシス/老人性全身性アミロイドーシス) 主に高齢者の心筋症を引き起こします。このアミロイドーシスは、女性よりも男性に、はるかに多くみられます。ATTRwtアミロイドーシスは正常な(野生型、変異していない)トランスサイレチンが異常に折りたたまれることによって発生します。アミロイドがなぜ心臓に蓄積するのかはまだ分かっていません。
アミロイドーシスの診断は罹患臓器の組織検査でアミロイド沈着物を証明することにより行われます。ALアミロイドーシスやAFアミロイドーシスでは腹部皮下脂肪の検査で診断ができる場合があります。