心房細動の抗凝固療法について
心房細動とは
心房細動は、心臓の一部である心房が異常なリズムで動く状態です。これにより、心臓のポンプ機能が正しく働かず、血液の流れが乱れます。
心房細動で血栓症が生じるのはなぜ?
心房細動では、心房が正常に収縮せずに震えるような動きをします。この状態で血液が心房内で滞留すると、血液中の成分が凝集しやすくなります。その結果、血栓(血液の塊)ができやすくなります。心房内にできた血栓は心房から離れ全身に拍出されると脳などの動脈の末梢で血管に詰まっていまい脳梗塞などの重篤な合併症を起こすことがあります。
血栓が生じやすくなるリスク因子
心房細動患者における血栓リスク評価は、患者の年齢や既往症、脳梗塞などの合併症の有無や高血圧・糖尿病などのリスク因子などを考慮して行われます。これにより、血栓ができやすいかどうかを予測し、適切な治療法を選択します。
抗凝固薬について
抗凝固薬は、血液の凝固を防ぐ働きがあります。これにより、血栓ができにくくなります。抗凝固薬には、ワーファリン(VKA)とDOAC(直接経口抗凝固薬)の2種類があります。ワーファリンは、血液の凝固を阻害するビタミンK拮抗作用を持っています。一方、DOACは直接的に特定の凝固因子を阻害し、血液の凝固を抑制します。これらの抗凝固薬により、血栓のリスクを低減し、脳梗塞などの合併症を予防します。薬剤以外の治療手段としては、左心耳閉塞装置(WATCHIMANなど)があります。これは、心房細動患者の一部で血栓が形成される特定の部位を塞ぐことで、血栓形成を防ぐために使用される装置です。