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うっ血性心不全の薬物治療について

[2023.04.10]

うっ血性心不全の薬物治療の基本的な考え方

  • 体内の水分量・ナトリウム量を調節して浮腫や肺水腫による呼吸困難が生じないようにする
    • ループ利尿薬(アゾセミド、フロセミド、トラセミドなど)やトルバプタンなどによりナトリウムや自由水を排出することにより体の水分量を調節します。また血糖降下剤であるSGLT2阻害剤はナトリウム利用作用を持ち心不全患者の生命予後を改善することが多くの大規模試験で示されており心不全の治療に広く用いられています。
  • 心不全を悪化させる神経体液性因子を調節する
    • 心不全の方ではアンジオテンシンII、アドレナリン、ノルアドレナリンなど血圧の調節に関わる神経や内分泌系によって作られた情報伝達物質(ホルモンのようなもの)が過剰に産生されていることが多く、これらの作用が心不全を悪化させるためβ遮断薬、ACE阻害剤、ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)、MRB(ミネラルコルチコイド拮抗薬)などを利用してこのような神経体液性因子を抑制することが必要です。近年はナトリウム利用ペプチドという利尿・血管拡張作用のある物質を分解するネプリライシンを阻害する薬剤も使用されます。
  • 薬剤の種類・投与量の調整
    • 薬剤の作用が強すぎると血管内の水分量が減少するため心拍出量が低下し倦怠感、食欲低下などの症状が生じたり、腎機能が悪化することがあります。また血圧低下、心拍出量、高カリウム血症を引き起こすこともあり体の状態に会わせてこまめ調節することが必要です。
    • 調節の目安として、浮腫や呼吸困難などの症状や体重、血圧の毎日の変化を知ることが重要でこのために心不全手帳を毎日記入していただくことが必要です。また定期的に浮腫や心音、呼吸音、頸静脈の評価を行い、血液検査でNTproBNPや電解質・腎機能などの数値を確認し、必要に応じて心臓超音波検査、心電図、胸部レントゲンで心臓の機能を把握することが必要となります。

 

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