健康診断で肝機能異常を指摘された方へ

健康診断で肝機能異常を指摘されると驚かれるかもしれませんが、多くの場合は生活習慣の影響や一時的な変動によるものです。ただし、放置すると肝障害が進行する可能性もあるため、適切な対応が重要です。以下に、よく見られる肝機能異常の種類や必要な対応について説明します。
1. 健診でよく見られる肝機能異常
健康診断では、血液検査の結果をもとに肝機能異常が指摘されることが多いです。代表的な項目には以下のようなものがあります。
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AST(GOT)・ALT(GPT)
肝細胞の障害を示す酵素で、数値が高い場合は肝炎や脂肪肝の可能性があります。ALTが特に高い場合は肝臓由来の異常が疑われます。 -
γ-GTP(ガンマGTP)
肝臓や胆道の状態を反映する酵素で、アルコールの影響を受けやすいです。過剰な飲酒や脂肪肝、胆管疾患などで上昇します。 -
ALP(アルカリホスファターゼ)・総ビリルビン
胆道系の異常(胆汁うっ滞など)を示唆することがあり、胆石や肝内胆管障害の可能性が考えられます。 -
LDH(乳酸脱水素酵素)
肝炎や肝障害で上昇することがありますが、心筋や腎臓など他の臓器の影響も考慮する必要があります。 -
アルブミン・プロトロンビン時間
肝臓の合成機能を反映し、慢性肝疾患(肝硬変など)では低下することがあります。
2. 必要な検査
肝機能異常を指摘された場合、追加で以下のような検査が必要になることがあります。
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超音波(エコー)検査
脂肪肝、肝腫瘍、肝硬変の有無を確認するために行われます。 -
腹部CT・MRI
肝臓の詳細な構造を評価し、腫瘍や血流異常の有無を確認します。 -
ウイルス肝炎検査(B型・C型肝炎ウイルス)
慢性肝炎の原因となるウイルス感染の有無を調べます。 -
血清鉄・フェリチン検査
鉄過剰による肝障害(ヘモクロマトーシスなど)の可能性を調べます。 -
脂質・糖代謝検査
脂肪肝のリスク因子として、コレステロールや血糖値を測定します。 -
肝線維化マーカー
肝臓の線維化の進行度を評価し、慢性肝疾患の進行状況を判断します。
3. 内科医を受診する際の注意点
肝機能異常を指摘された場合、内科(消化器内科)を受診することになります。受診時には以下の点に注意しましょう。
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過去の検査結果を持参する
健康診断の過去のデータがあれば、異常値の変化を確認できます。 -
生活習慣の情報を整理する
・アルコール摂取量(週にどの程度飲むか)
・食生活(脂肪分の多い食事、糖質の摂取量など)
・運動習慣の有無
・服用中の薬やサプリメント -
家族歴を確認する
肝疾患の家族歴があるかどうかを医師に伝えると、遺伝的な要因も考慮した診断ができます。 -
自覚症状の有無を伝える
自覚症状がない場合でも、倦怠感、食欲不振、黄疸、右上腹部の違和感がないかを振り返り、医師に伝えましょう。
まとめ
健康診断で肝機能異常を指摘されても、必ずしも深刻な病気とは限りません。しかし、脂肪肝や肝炎、肝硬変のリスクが潜んでいることもあるため、追加の検査を受けて正確な診断をつけることが重要です。日常生活の改善が効果的な場合も多いため、医師と相談しながら適切な対策を講じましょう。