健康診断でコレステロール・脂質異常を指摘された方へ
健康診断でコレステロールや脂質異常を指摘されても、自覚症状がないため軽視されがちですが、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。適切な対応をとることが重要です。以下に、よく見られる脂質異常の種類や必要な対応について説明します。
1. 健診でよく見られる脂質異常
健康診断では血液検査を通じて脂質異常が指摘されることが多く、以下のような指標が重要になります。
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LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
動脈硬化を進行させる主要因で、基準値より高いと心血管疾患のリスクが上昇します。 -
HDLコレステロール(善玉コレステロール)
血管の健康を保ち、余分なコレステロールを肝臓に戻す働きがあります。低すぎると動脈硬化のリスクが高まります。 -
中性脂肪(トリグリセリド)
エネルギー源として重要ですが、過剰になると肥満や脂肪肝のリスクが高まります。 -
総コレステロール
LDL、HDL、その他のコレステロールを合計した値で、総合的な脂質バランスを示します。
脂質異常は単独で問題を起こすこともありますが、高血圧や糖尿病と合併すると動脈硬化のリスクがさらに増加するため、早めの対応が重要です。
2. 必要な検査
脂質異常を指摘された場合、追加で以下のような検査が必要になることがあります。
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血液検査(詳細な脂質プロファイル)
健診の基本的な検査に加えて、リポ蛋白の種類や比率を詳しく調べることがあります。 -
動脈硬化検査(頸動脈エコー・ABI/CAVI)
動脈の硬さや血流の状態を調べ、すでに動脈硬化が進行していないかを確認します。 -
肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)
中性脂肪が高い場合、脂肪肝が疑われるため、肝機能のチェックが必要です。 -
血糖・HbA1c検査
脂質異常と糖尿病は関連が深いため、血糖コントロールの評価を行います。 -
心電図・心エコー検査
動脈硬化が進んでいる場合、心臓に影響がないかを調べるために実施することがあります。
3. 内科医を受診する際の注意点
脂質異常が指摘された場合、内科(循環器内科や代謝内科)を受診することが勧められます。受診時には以下の点に注意しましょう。
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過去の検査結果を持参する
健診の過去のデータがあれば、コレステロールや中性脂肪の変化を確認できます。 -
生活習慣を整理する
・食生活(脂質の多い食事、甘いもの、加工食品の摂取量など)
・運動習慣(週に何回、どの程度運動しているか)
・喫煙・飲酒の有無
・体重の変化 -
家族歴を確認する
家族に脂質異常症や心血管疾患の既往がある場合、遺伝的な要因が関係している可能性があります。 -
自覚症状の有無を伝える
自覚症状がない場合でも、動悸、息切れ、頭痛、倦怠感などがないかを振り返り、医師に伝えましょう。
まとめ
健康診断で脂質異常を指摘されてもすぐに深刻な症状が出るわけではありませんが、長期的に放置すると動脈硬化が進行し、心血管疾患のリスクが高まります。追加の検査を受け、食生活や運動習慣の見直しを行い、必要に応じて治療を開始することが重要です。
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