健康診断・人間ドックなどで心電図異常を指摘された方へ

健康診断や人間ドックで心電図異常を指摘されると不安を感じるかもしれません。しかし、明らかな自覚症状がなければ心臓に明らかな異常を認めないこともしばしばあります。
心電図は同じ心電図でも読影(医師が心電図を判読し疾患やリスクを評価すること)する医師によって評価が変化する場合があるので、心電図そのものに大きな変化がなくても検診によって判定が変わることもあります。
1. 健診でよく見られる心電図異常
- 洞性徐脈・頻脈:心拍数が通常より遅い(徐脈)または速い(頻脈)状態ですが、運動習慣や自律神経の影響による場合もあり、必ずしも異常とは限りません。
- 期外収縮(上室性・心室性):心臓のリズムが一瞬乱れる不整脈の一種で、多くは良性ですが、頻発する場合は精査が必要です。
- 脚ブロック(右脚ブロック・左脚ブロック):心臓の電気信号の伝わり方に異常がある状態で、特に左脚ブロックは心疾患と関連する場合があります。
- ST-T変化:心筋虚血(狭心症など)や電解質異常が疑われる場合がありますが、軽度の変化であれば経過観察となることも多いです。
- 高電位(左室高電位):心臓肥大(左室肥大)を反映している場合もありますが体の中の心臓の位置や向きの個人差による場合もあります。
2. 必要な検査
これまでの自覚症状や身体所見、心電図から必要に応じて以下のような検査が実施される場合があります。重大な異常が疑われる場合は入院による検査・治療を勧められることもあります。
- ホルター心電図(24時間心電図):日常生活の中での心電図変化を記録し、一過性の不整脈などを確認します。
- 運動負荷心電図:運動時に心電図を測定し、運動による異常の有無を調べます。
- 心エコー検査:心臓の構造や機能を評価し、心筋症や弁膜症の有無を確認します。
- 血液検査:電解質異常や甲状腺機能の異常が原因となっていないかをチェックします。
- 冠動脈CTやMRI:狭心症や心筋梗塞のリスクが疑われる場合に実施されます。
3. 専門医を受診する際の注意点
心電図異常を指摘された場合、循環器内科を受診するのが一般的です。
- 過去の健康診断結果を持参:以前の心電図と比較することで、異常が最近発生したものか、以前からあるものかが分かります。
- 症状の有無を整理:動悸や息切れ、胸痛などの症状があるかどうかを医師に伝えましょう。
- 家族歴を確認:家族に心疾患の既往があるかどうかを伝えることで、遺伝的なリスクを評価できます。
- 生活習慣を振り返る:喫煙、飲酒、運動習慣、ストレス状況などを医師と共有することで、生活改善のアドバイスを受けやすくなります。
まとめ
健康診断で心電図異常を指摘されても、必ずしも深刻な病気とは限りません。しかし、追加の検査を受けて正確な診断をつけることが重要です。心電図異常の種類によっては経過観察で問題ないものもありますが、専門医の判断を仰ぎ、必要に応じて生活習慣の改善に取り組みましょう。
特にこれまでの検診で指摘されなかった異常を指摘された場合や、何らかの症状がある場合は循環器内科に受診してください