肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心臓の筋肉が通常よりも厚くなってしまう病気です。心臓は血液を全身に送るポンプの役割を果たしており、心筋が厚くなると心臓の働きに影響が出ます。特に、心室と呼ばれる心臓の部分が厚くなると、心臓が血液を効率的に送り出すことが難しくなります。
- 肥大型心筋症の原因・症状・合併症
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肥大型心筋症は、遺伝的な要因が大きく関係していることが多いです。家族にこの病気がいる場合、自分も発症するリスクが高まります。症状は人それぞれで、疲れやすさ、息切れ、胸痛などがありますが、症状が全くない人もいます。
肥大型心筋症は、適切な治療やケアが行われれば、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。しかし、重度の場合は、心臓の働きが低下し、心不全や不整脈などの合併症が起こることがあります。そのため、定期的な検査や医師の指示に従った治療が重要です。
- 心電図異常などで指摘され、心臓超音波検査等で左心室の壁が分厚くなっていることで疑われます。他にも左心室の壁が厚くなる二次性心筋症があり(その多くは肥大型心筋症よりも症状が重く、死亡率が高いことが多い)、診断するためには心筋生検(心臓の筋肉を採取して調べる)などが必要となります。
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年間約1%程度の死亡率(主に突然死)とされていますが以下の項目に当てはまる方は特に死亡リスクが高いと考えられます。逆に当てはまらない方についてはリスクは低く、重大な症状もなく安定した経過をたどることも珍しくありません。
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家族や親族に肥大型心筋症の人や心臓突然死(心室不整脈などで突然亡くなられたことが明らかになった)の方がある
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原因不明の失神,心停止,または持続性の心室性不整脈を指摘されたことがある
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心臓超音波検査等の検査で大幅な左室流出路圧格差(50mmHg以上), 左室肥大(壁厚30mm以上),左室機能障害(EF < 50%),左室心尖部動脈瘤がある
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造影MRIでのガドリニウムによる広範かつびまん性の遅延造影を認める
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- 肥大型心筋症の治療
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肥大型心筋症の治療には、β遮断薬や心拍数や心臓の収縮を弱めるようなカルシウム拮抗薬が使われます。
左心室の出口が狭くなっている(流出路閉塞のある)方では利尿薬や血管拡張薬など前負荷を減らす薬剤を避けます。また心筋切除術または経皮的中隔心筋焼灼術などの手術やペーシング治療が行われる事もあります。
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