心房細動(発作性心房細動)
心房が洞房結節の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し、規則的な洞房結節の活動が伝わらず、心室の収縮が不規則な間隔で起こる状態である。
心房細動は心臓の中の心房と呼ばれ通常は1分間に50~100回程度のリズムで運動している場所が小刻みなけいれんのような運動になり正しい収縮と拡張ができなくなる不整脈です。一日中心房細動が続き戻らなくなった方と一時的に心房細動になることがある方(発作性心房細動)の方がいます。
心房細動は加齢とともに増加し、70歳代の5%、80歳代の10%程度の割合で起こる比較的起こりやすい不整脈で日本国内に約130万人~200万人程度が持っているとされています。
自覚症状は動悸に気づくことがありますが、発作に気づかずに健康診断等でたまたま見つかることも多くあります。
心房細動は健康な方でも発生しますが、高血圧、糖尿病、心筋梗塞・弁膜症などの心臓病や慢性の肺疾患のある方は発生しやすく、またアルコールやカフェインの過剰摂取、睡眠不足、精神的ストレス時に発生しやすくなる方もいます。
初めのうちは一次的に発作が生じる発作性心房細動が多く、発作の回数が増えるにつれて心房細動から回復しない持続性・永続性心房細動に移行していく場合があります。
心房収縮がなくなり、心室の拡張期に十分血液が満たされないため心臓の機能が低下し、心臓から出る血液量も約20%減少します。そのため息切れやめまい、胸苦しさなどの症状を起こしやすくなり、これが続くと心不全になる可能性もあります。
また心房の中に血栓(血液のかたまり)ができやすくなりこれが血流にのって脳梗塞など重大な塞栓症を起こす原因となります。心房細動の発作が一時的にしか生じない発作性心房細動の方も脳梗塞などの塞栓症の危険性は上昇することが知られています。 多くの方で血栓を予防する薬剤(抗凝固薬)が塞栓症予防のために必要となります。また症状の強い方や心機能の悪化する方では最近急速に進歩してきたカテーテル治療(カテーテルアブレーション)の適応となる場合があります。
また心房細動は発作が止まり通常の心拍(洞調律)にもどると診断をつけることが困難なので、ホルター心電図検査や携帯型心電図検査で発作時の心電図を記録することが重要です。また脳梗塞、心不全、糖尿病、高血圧などの疾患の有無や心臓超音波検査等で心臓の機能を評価して治療方針を考えていくことが重要です。
関連項目
心房細動の血栓症の危険性について
ホルター心電図検査のご案内
最大2週間できる長期間ホルター心電図について
携帯型心電計検査
心臓超音波検査のご案内
心不全(うっ血性心不全)
脳梗塞(脳卒中)
心房細動の抗凝固療法について